アメリカの税務では、アメリカ市民または居住者が外国から贈与や相続を受けた場合、必ずしもその財産に対して税金を支払う必要はない。日本とは異なり、課税を受けるのは財産をあげる人で、財産を受け取る人は基本的には課税されない。しかし、財産を受け取る人には報告義務があり、基準となる年間受領額が10万ドルを超える場合には、Form 3520を提出しなければならない。これを怠るとペナルティを受ける可能性がある。
従来は、Form 3520を適切に提出しなかったり遅れて提出した場合、その理由に関係なく、機械的にペナルティが課されることがあった。
2024年でこの度、IRSは納税者のForm 3520遅延に対して事前に理由を審査する手続きに変更したようだ。問答無用ではなく、理由を聞く姿勢に改善されたのはありがたいことだ。
しかし、その理由を認めてくれるかどうかは別問題となる。
遅れて提出するForm 3520に対するペナルティを回避するためには、納税者は「正当な理由」を立証する必要がある。これは、その不履行がわざとやったのではないと示さなければいけない。
Form 3520の提出をしていないことの合理的な理由を挙げるのは必ずしも容易ではない。あえて考えられる合理的な理由としては、死亡や重篤な病気によるものだ。本人や家族の死亡により手続きをすることができなかった場合や、肉体的、精神的に動く事がままならず、助けてくれる人がいなかった場合などだろう。また、天変地異により書類や記録が失われ、その回復に時間がかかった、あるいは戦争や内乱に巻き込まれたといった理由も考えられるだろう。
こうした理由は、どうしようもなかったと思えるものの、ほとんどの場合はForm 3520の提出義務があることを知らず、何もしていなかったと言うのではないだろうか。
「知りませんでした。ごめんなさい。」と言うしかない事は合理的な理由となるのだろうか。子供の場合はそうかも知れないが、大人の場合にはそうも簡単にはいくまい。一生懸命に調べたがわからなかった、普段から適正に申告を行っており、未払いの税金もなく、いつもすみやかに対応していると言えれば、IRSの印象も多少は良くなるかも知れない。
ケースごとに事情が異なり、IRSの担当者ごとに判断が異なる現状では、明確な一線を引くのは難しいだろう。同じようなケースである人がOKで、別の人はダメということでは公平性が失われる。IRSの立場としては「法を守らないことに対する言い訳はない」となってしまうかも知れない。
確かに、フォーム3520の提出遅延にIRSは機械的なペナルティ処理をしないと明言しものの、合理的かつ正当な理由を主張することが残っている。雲間から太陽が差し込んでも、雲一つない青空ではない。確実にForm 3520を提出することが肝心だ。
〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301
相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所
水天宮前駅 | ― |
東京メトロ半蔵門線 6番口 4分 |
---|---|---|
茅場町駅 | ― |
東京メトロ 東西線 A4出口 徒歩5分 |
人形町駅 | ― |
東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線 A2出口 7分 |