交通事故で身体的な傷害や休業、精神的苦痛、懲罰的損害を含む 10 万ドルの和解金を受け取ったとする。一見すると「事故の補償」としてまとめて受け取るだけのように思えるが、アメリカ税務ではどの部分が非課税で、どの部分が課税かを明確に区分する必要がある。
アメリカ税務の基準となるのは IRC §104(a)(2) で、ここでは「身体的傷害または身体的病気に起因する損害賠償金は所得から除外される」と定められている。つまり、治療費や休業補償など、身体的損失を回復するための金銭は「原状回復」とみなされ、非課税となる。
ただし、すべてが非課税になるわけではない。身体的傷害を伴わない精神的苦痛の補償や、加害者への制裁として支払われる懲罰的損害賠償は課税対象となる。
10 万ドルの和解金が次のようになっていたとする。
身体的傷害・医療費:3 万ドル
休業・給与損失:2 万ドル
精神的苦痛:3 万ドル
懲罰的損害賠償:2 万ドル
このうち、医療費、休業補償、身体的傷害由来の精神的苦痛は 非課税となる。事故による身体的損傷とその結果生じた損失は、すべて「身体的傷害の延長」と考えられる。しかし和解金であっても、それが「身体的傷害・病気」を補償する部分に当たらない限り、和解金は課税所得として扱われると考えられる。この区別がわかりにくいことがある。また、懲罰的損害賠償の 2 万ドルは課税される。これは被害者の補償ではなく、加害者への制裁としての性質を持つため、税務上は「所得」と扱われる。
交通事故の和解金は、単なる「補償金」ではなく、税務上は複数の性質を持つ金銭の集合体だ。和解金の課税・非課税を明確にするためには、和解契約書や控訴状などで、「身体的傷害」「精神的苦痛」「給与の未払い」などどう割り振られるかを明記しておくことが重要とされる。
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